ケーリーの定理の証明

Steve Awodey, Category Theoryで圏論を少しずつ学習中。いきなりつまずいた表題の定理の証明についてまとめておく。

Theorem(Cayley). Every group G is isomorphic to a group of permutations.
(p.13)
群$G$は置換群の部分群と同型。

単語の定義から。
$X$を群とするとき、全単射写像$f: X \rightarrow X$を$X$の置換という。$X$の置換全体からなる群を$X$の置換群という。
置換群とは、$cod(f)$を指すのではないことに注意。つまり定理の出発点になる群$G$とはレイヤーの異なるところに位置する群としてイメージすることで、定理の意味を把握しやすくなると思う。

定理の証明は以下の順序で行う。

  1. 全単射写像$\bar{g}: G \rightarrow G$を定義する。
  2. $i: G \rightarrow \bar{G}$が同型写像であること、つまり$G \cong \bar{G}$を示す。

(1) $\bar{g}: G \rightarrow G$

ある$g \in G$について、すべての$h \in G$に対し

$$\bar{g}(h): g \cdot h$$

となる写像$\bar{g}$があるとする。

単射性

$\bar{g}(a): \bar{g}(b)$であれば、

$$g \cdot a: g \cdot b$$
$$g^{-1} \cdot g \cdot a: g^{-1} \cdot g \cdot b$$

したがって$a: b$となる。

全射性

$y \in G$について、$G$のある元$x$が存在して$\bar{g}(x): y$となることを示す。
$G$は群なので、

$$y: e \cdot y: g \cdot g^{-1} \cdot y: g \cdot (g^{-1} \cdot y)$$

したがって、$x: g^{-1} \cdot y$とおくと、$\bar{g}(x): y$とおけ、$\bar{g}$は全単射。

(2) $i: G \rightarrow \bar{G}$と$j: \bar{G} \rightarrow G$

各元$g \in G$について、$G$の置換への写像(つまり関数を呼び出す関数)$i$を

$$i: G \rightarrow \bar{G}$$
$$i(g): \bar{g}$$

とする。

また、各元$\bar{g} \in \bar{G}$について、ある元$x \in G$への写像$j$を

$$j: \bar{G} \rightarrow G$$
$$j(\bar{g}): \bar{g}(x)$$

とする。

ここで、iが同型写像であることを示すためには、$j$が群$X$の置換$\bar{g}$からその置換$\bar{g}$のもととなった$g \in G$への写像となるような$x$をとる必要がある。

$$\bar{g}(x): g: g \cdot u$$

したがって求めるべき$x$は$x: u$となり、$j(\bar{g}): \bar{g}(u)$と書ける。

実際、このとき

$$(i \circ j)(g): j \circ (i(g)): j(\bar{g}): \bar{g}(u): g \cdot u: g$$

また、

$$(j \circ i)(\bar{g}): i(j(\bar{g})): i(\bar{g}(u)): i(g \cdot u): i(g): \bar{g}$$

より、$i$は同型写像。$\square$